株式会社マーケティングジャーナル

FRONT VIEW 最前線の挑戦

オーレック グリーンラボ・ブランド発信拠点の挑戦 産地に近づき情報を発信する

 世界には物が溢れている。供給が需要を創り出すという時代は過去に過ぎ去り、同じ用途に使える商品が幾種もある中で、需要者に選ばれる商品を作っていかなければならない。また選ぶ側も数多ある商品の中で一つに決めなければならない。多大な労力と時間、時には費用も伴う作業。そこで供給者と需要者の間にブランドを介した新たな関係が生まれる。ブランドは他商品との差別化を図り、また商品選択のコストを下げることにも繋がる。多くの信頼を得るブランドは確固たる存在感を発揮し、また双方に喜びをもたらすものでもある。そのブランドのリニューアルに取り組んでいるのがオーレック。取り組みの一つである“ブランド発信拠点グリーンラボ”の挑戦を追う。 

 

   
 ▲グリーンラボ長野  ▲グリーンラボ弘前

 

 オーレックは本年創業70周年を迎えるが、それに先立って、ブランドのリニューアルに着手し、新コンセプト“草と共に生きる”の展開を進めている。その一環としてオーレックブランドを体感できる施設、オーレック・グリーンラボが開設された。営業所とショールーム機能を兼ね備えたブランド発信拠点で、コミュニケーションの場を形成し、現在、長野市と青森県弘前市で、メーカーとユーザーの距離を縮める機能を担っている。同社では「今の世の中に無いものを作りたい」との想いがあり、“世の中に役立つものを誰よりも先に創る”という企業スピリッツの延長上に同施設もある。
 グリーンラボ長野は、多くのリンゴ農家が集まる果樹地帯にあって、その中を通り抜けていくアップルラインと呼ばれる国道18号線に面し、全面ガラス張りの開放的でハイセンスな外観が特徴的。2016年の5月にオープンし、営業所を兼ねたショールームでアフターサービスも行っている。施設内には、同社製品の主要機種を常時30台以上展示。見て、触って、実際に動かし、乗って、体感することができる。所長を務めるのは津田徹さん。「前を通りかかった人はとっても気になるようで、一度来てみたかったと言う人や非農家の人も来られます」。農家が機械購入のための情報収集に来るのはもちろん、好奇心を満たすために来る人や、農業に関する広範な情報交換をするために来る人もいる。またコミュニケーションスペースとして「展示会や機械の講習会などをこの場所で開いています」。
 ショールーム機能としては商品を選択する上で、「現物を前にして、実際に見て乗ってもらいコミュニケーションを取る中で、本当にユーザーに合った機械をご提案できます」と、生産者に寄り添う形で大きな力となっている。実際の購入については、各自が近くの販売店に行く形となる。また営業地域内の販売店では、お客さんを伴って施設を訪れ、現物を前にして説得力のある説明が行え、不安や疑問を解消できる。販売店の売上向上に貢献できる施設だ。
 「グリーンラボ長野ができて関連機械の売上は伸びています」と言うのは、同施設の真向かいに店を構える北信農機具㈲の中村弘行社長。高所作業車、SS、乗用草刈機などを扱いながら、地域の主力となっているリンゴ栽培の機械化に貢献している。「オーレックに関心を持たれるお客様をこちらにお連れして、機械をじっくり見てもらいます」。カタログだけで説明しても、新規顧客やその機械が初めてという人には、伝わりにくい部分もあり、販売店が説明用も兼ねて機械を在庫する例もあるが、「本来ならできるだけ在庫は持ちたくありません」というのが販売店の本音。その想いに応えているのがグリーンラボでもある。現在、北信農機具ではオーレック関係の在庫を多くは持っていないが、十分な営業ができている。「本来販売店がする仕事を替わりにやってもらっているようなもので、大変助かっています」。
 「産地に近づき、コミュニケーションをとって、情報を発信する」と津田所長。販売店や生産者との距離がぐっと縮まっている。また、産地の真ん中で、いつでも誰でも受け入れるオープンな施設を作ることで、「見られているという意識が私たちに出てきました。それは相手を意識するということで、常にお客様のことを考え、期待に応えていきたいという気持ちに繋がります」。その積み重ねがブランド力を高めていくことになる。
 長野に引き続いて昨年12月にオープンしたのがグリーンラボ弘前。青森と秋田を管轄し、青森のリンゴ栽培の中心地にある。その隣にはユニクロが店を構える国道7号線沿いにあって、全面ガラス張りの建物の注目度は高い。長野と同じく営業所を兼ねたショールームであり、地域コミュニティーの場所としても機能している。「オープンして半年あまりですが、近隣生産者との親密感は増しています。リンゴ農家さんの会合などにも使ってもらっています」とグリーンラボ弘前の道広卓也所長。生産者の身近にあるメーカーとして、その認知度向上を図っている。さらにもう一歩踏み込んで実現しようとしているのが、「生産者の方々としっかりコミュニケーションをとって、要望をお聞きし、弘前発の機械を作りたいと思っています」。既にその取り組みも形となりつつあり、生産者との絆を育むものとなっている。
 「フィードバックができる体制を整えてくれているので、すごく良い製品ができると思います」と言うのが、㈱釈迦のりんご園社長の工藤秀明さん。オーレックが製品開発のアドバイスを受ける生産者の一人だ。弘前にグリーンラボができたことで、要望に対する対応力が増し、出てくる製品に対する期待も高まっている。
 グリーンラボ弘前から30分ほどにあるのが㈱釈迦のりんご園。平川市の広船地区に位置し、県内でも品質の良いリンゴの産地として知られる。その中で、青森県りんご品評会において、親子三代にわたり、最高品質の全県第一席を受賞している。リンゴ作りの秘訣は「植物の生理をしっかり学ぶことです。こちらの都合を押しつけて、無理に多くとったり、赤くしたりせずに、リンゴにストレスをかけないで育てれば良い物ができます。土と葉っぱにこだわって、最高級の有機肥料を使い、リンゴが持つ力を120%引き出します」。こうして生み出されたリンゴは東京銀座の高級果物店を中心にして販売され、味・品質に対して極めて高い評価を受けている。
 その中で、オーレックの乗用草刈機ラビットモアーが活躍している。使用しているのはRMK160。傾斜のある園地でも存分に働き、オフセット部が機体の横からせり出し幹周の草刈りなどが楽に行える。「除草剤は使いませんので、これが無いときは、鍬などを使って木の下の草を処理し、手は豆だらけで大変でした」。大幅な労力削減を実現している。工藤さんの草刈りは「なるべく自然の状態にしたいので、草はあまり短くせず、紫外線から土を守り、微生物を生かしています。そうでないと美味しいものはできません」。オーレックの機械はその栽培方法に合致するものとして選択されたもの。「よく作ってくれたと思っていますよ」。使用の満足度は高いようだ。
 弘前にグリーンラボができ、オーレックと生産者の交流はより深いものとなっている。単に製品の作り手とその使用者という枠組みを越え、施設は情報交換や会合の場として使われ、また製品に対する要望を積極的に出し、それが新しい製品となって具現化しようとしている。道広所長は「ここで喜ばれる機械なら、全国どこに出しても、さらに世界でも通用する。しっかりとコミュニケーションをとりながら、諦めずに取り組んでいきたい」と、これからの目標を語ってくれた。 

 そんなメーカーと生産者の関係性の中に、“草と共に生きる”というブランドコンセプトが見えてくるような気がした。“生産現場の近くで常に生産者と共にある”という姿勢を基盤に想いを共有していくということで、メーカーとユーザーが共に育むブランドとも言えそうだ。ブランド構築は一朝一夕にはいかない。地道に信頼に応えていく積み重ねである。ただその分、生み出される価値は持続性があり大きなものとなる。100周年に向けた礎となるに違いない。オーレックの挑戦は続く。

 


 

■グリーンラボ長野

▷所在地=長野県長野市赤沼1896-50、▷電話番号=026-295-0235、▷構造規模=木造在来工法1階建て、▷延床面積=1873.05㎡。

■グリーンラボ弘前

▷所在地=青森県弘前市神田4丁目2-5、▷電話番号=0172-40-3077、▷構造規模=鉄骨造・平屋建て、▷延床面積=759.55㎡。

 

 


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