株式会社マーケティングジャーナル

多士済々 農機業界人物ファイル


キャニコム代表取締役会長 包行 均氏

業界の働き方改革を考える
 

 働き方改革が話題になっている。業界でも販売店での採用や離職率で厳しい状況にある所も多いと聞く。長時間労働をなくし、労働の生産性を上げ、仕事への満足度をアップするには、どうすればいいのか。キャニコム会長の包行均氏に話してもらった。
 
日曜日に展示会を開催しない所が増えている。これまで土・日の展示会が多かったが、販売店・メーカーの負担が大きく、せめて日曜日は休もうということだろう。ただ、各大手メーカー・JAの展示会が、それぞれ行われている。出展メーカーとしては、物・人・金の負担が多い。コマ代を出し、出品製品を持って行き、撤収する。展示会要員を複数人出す。もちろんお金もかかる。こうした昔からのやり方について見直す必要がある。少なくとも改善への議論を始めなければならない。特に我々の営業マンは販売店からの要望に応えかねている現状もある。もちろん、展示会でこそ売りやすい商品もある。日本を代表するような大きな展示会には積極的に参加すべきと考えている。ただ展示会の基本は当社が企画し、実行するものであり、新商品は1年から3年かけて3回の展示で広告、宣伝、広報していく。
 働き方改革としては、長時間労働、残業の問題もある。上司が帰らないから帰りにくい、残業代のための残業といったこともないとは言えない。これらの問題は時給にあると言ってもいい。これを成果重視の年俸制にし、賞与・ボーナス・特別手当などにすれば長時間労働を減らせるのではと考える。実力主義といってもいいかもしれない。パワハラなども話題になっているがこれは程度問題。行き過ぎはもちろん良くないが、上司と部下のコミュニケーションまでなくしてはならない。対話や議論のないところに発展はない。
 サービスについては、有料化にしていかねばならない。有料サービスこそ真のサービスであり、無料サービスの値引きといったことはやめ、お客様の求めるサービスを有料で提供することこそ大事だろう。そして、時代にあったサービスを会社経営上、商品提供とともに再考しなければならない。マニュアル的なサービスではなく、一人一人にあったサービスであり、その価値は、安全と安心がベースとなるだろう。いずれにしても弊社の使命は新商品の開発である。お客様が困っていることを解決する。今後、AI・IoT・ICTなどに対応しなければならない。そのために、九州大学などの大学や研究機関とも連携し、研究を進めている。
 海外対応も進出から39年が経過した。営業拠点もアメリカ、スイス、韓国、フィリピン、タイに設置し、中国工場は中国の販売で活動している。いずれは海外で10億市場を100ヵ所つくりたいと考えている。そこでは、大手は手を出さない、小規模メーカーでは手を出せない、我々の市場がある。草、山地、畑でも使える足回りを生産していく。そうした意味でも2020年に竣工する予定の新工場に期待している。敷地面積3万坪に大型機械を製造できる工場をつくる。これまで買い手はあってもつくれなかった5tクラスの建機が中心となる。エンジンは75馬力が中心で上は250馬力までを考えている。7t、8tクラスまで商品化したい。
 ブランドイメージに直結するネーミングにも力を入れている。ネーミング大賞は、第17回の「伝導よしみ」の第4位以来、本年は乗用草刈機「SUN SUN まさお SUN」がビジネス部門で第2位となり13年連続の受賞となった。今後もデザイン・ブランド・機能に磨きをかける。

全国農業機械商業協同組合連合会会長 西山 忠彦氏

業界、農業、農村地域の活性化に向けて
 

 去る2月27日、東京都港区のメルパルク東京において、全国農業機械商業協同組合連合会通常総会が開かれ、新会長として㈱中九州クボタ代表取締役社長の西山忠彦氏が新会長に選任された。日本農業が大きな転換点を迎える中、新しい時代に対応した農機販売店、組合が求められており、その手腕に期待が集まる。熊本県天草出身の61歳。中山間地の田園地帯を原風景に持ち、中山間地活性化の思いは強く、業界だけではなく、農業、農村地域の活性化に尽くしたいとしている。就任の抱負について聞いた。
 
2019年に実施する主な事業は、まず第一番目が教育情報事業。若手経営者や後継者、組合事務員向けの研修を行う。また教育情報活動助成事業の活用促進を行う。二番目は全農機商連運営の財源となる経済事業の推進。その中で共同購買事業のメリットを拡大し、会員にご利用頂きたい。また、各展示会での経済事業活性化対策も行っていく。さらに、全農機商報やホームページを活用して情報を提供していく。個人販売店には農業機械のオリコローンの活用を紹介する。三番目は整備事業。最も力を入れていきたい所で、整備技能士検定試験の「手引き」「例題集」の作成・販売、整備施設認定制度に変わる団体基準の作成、運用を推進する。特に中古農業機械の査定士制度の推進と普及については、制度をきっちりと確立し安全・安心な中古農業機械を使って頂ける環境を作る。四番目はその他として、中小企業経営に有用な情報の提供、時代の変化・農業従事者の多様化への対応、事業継承に関する知識の習得、ITツール活用における有用性の調査などを進める。
 全般的には業界、農業そして農村地域の活性化に向けた活動をしていく。組合員の事業が益々発展するように環境を整備し、その中で農業、農村の発展を図りたい。農家も大規模化と中山間地の農業など二極化が進んでいるが、業界としてお役に立てるような運営をしていきたい。課題としては販売した商品のサービス・メンテナンスが的確にできて、そこにWin-Winの関係で収益を計上できるという体制を作るということ。また、中古農機の流通。その核となるのが査定士制度なので、その部分の強化を図っていきたい。農業機械が高度化する中でロボット農機などはそれを得意とするところで役割分担をすることも、組合だからこそできるのでは無いかとも思っている。
 農業全般について、大規模な所では新規就農者も増えているが、中山間地の農業についてはそうもいかず、日本の農耕文化を守ってきた所でもあり、ここをどう守っていくかを、業界を挙げて取り組んでいかなければならないと思っている。小型のスマート農機も出てきている。中山間地の高齢な農家の方でも安全に農業を持続できるものを提案できればと思っている。また中山間地の棚田などでの米づくりを活性化することが私のライフワークでもある。中山間地の農業を刈り取りなどで販売店が協力することもできるのではないかと思っている。また、弊社は玄米ペーストの事業で米の出口を拡大できないかと模索しているところ。
 座右の銘は事上磨練。意味合いとしては仕事を一生懸命することが自分を磨くことになるということ。日々、良いことも、悪いことも自分を磨くためにある。趣味はテニス。家族は妻と息子1人、娘1人。子供は2人とも成人し今は自立しているので、妻と二人暮らし。


 

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