株式会社マーケティングジャーナル

旬の人・多士済々 農機業界人物ファイル


多士済々:和同産業㈱ 代表取締役社長 照井 政志氏

社員の夢が実現できる企業へ
 

 岩手県花巻市に本社を置く和同産業は、除雪機を主力に草刈機等の農業機械の企画・製造・販売を行う開発型の企業だ。来期に創立80周年を迎え、それにあたり就任8年目を迎える照井政志社長に今までの取り組みと、培ってきた開発力を活かしたこれからの展望を語っていただいた。
 
 平成17年に花巻農業協同組合を57歳の時に退職し、縁あって翌年和同産業に入社した。入社して最初に取り組んだのが事業量の拡大。それまでの来た仕事をこなしていくだけでなく、事業量を拡大することが会社を成長させることと考え、OEM先の除雪機の全量生産を引き受けた。これにより事業量が拡大して、一定規模の売上を出すことができるようになった。量をやると言うことは、大変さもあるが、品質を保ち、コストにも耐え、納期を遵守できる力となって会社を成長させた。
 また、ここで働いてここで生活しなければならない人が必ずいる。ならば、事業量を増やしながら、雇用を増やしていくことが地場企業としての地域貢献だと思っている。地元に就職したい人がいっぱいいる。その受け皿として地場産業の役割がある。そういう人たちのためにも会社として成長していきたい。
 次に取り組んだのがディスクロージャー。会社の経営状況を社員に開示していった。情報公開したことで社員の意識レベルが上がってきた。
 社員にはよく言うのだが、この会社に籍を置いて、働いて、対価を頂いて、自分が持つ希望や夢、これを会社を通じて実現してほしい。そのために、私の責任というのは安定的な収益を会社にもたらせながら、皆様の期待に応えられるような会社にしていくことと思っている。
 そしてこれからは、“雌伏して時の至を待つ”。実力を養いながら活躍の機会を待つ意味。今までのOEM生産を通して、会社も社員もQCD(品質・コスト・納期)を鍛えられてきた。これを活かして自分たちの製品を開発して、自分たちで作って、自分たちで売る。今、WADOブランドのシェアが5%。これを15%にUPする。今まで開発が蓄えてきた力を全部投下して、10馬力の除雪機を作った。実際に除雪機に携わっている人々の声を盛り込んだことにより、多くの皆様から好評をいただいた。これを機に、自分たちで今まで蓄えた力を自社製品の開発に発揮しようと今年から方向転換する。そのためにも、情報を共有化、見える化し、生産効率を上げるための新しいシステム構築に投資する。来年4月から新システムが稼働できるように、各部門を横断したチームが取り組んでいる。
 海外展開に関しては、2年ほど前に専門部署を立ち上げヨーロッパに出荷を始めた。次にロシアへの展開を考えている。ただ、日本製の除雪機は単価が高い。そこで、輸出用として機能を集約した製品を設計して、ある程度価格を抑えた製品を開発していかなければならない。
 確かに人様の力を借りて経営もやってきた。有り難いことだ。しかし、これからは、WADOというブランドで本当の勝負をしていく。今まで蓄えた技術を活かしたロボット草刈機もその一つ。大樹の下にいれば食うには心配ないかもしれない。しかし、さらに会社を飛躍させ、先ほど言った社員の夢を実現させるには給料が安くてもいいわけではない。地場の企業として頑張って、ここで業を営む価値を生みたい。
 仲間と杯を交わすことが一番のストレス解消法。座右の銘は“日々是感謝”。社長をさせていただいているのも皆様のおかげ。これに感謝せずして何に感謝するのか。

旬の人:日本農業機械工業会 常務理事 川口尚氏

農業を支えるパートナーとしての役割を果たす
 

 6月3日に開催された日本農業機械工業会の定時総会において、新たな常務理事に就任したのが川口尚氏。1957年生まれの61歳。静岡県出身。北海道大学農学部農業工学科を卒業後、1980年に農林水産省に入省し農蚕園芸局肥料機械課に配属。農研機構生研センター新技術開発部長、東北農政局生産部長等を務め、2017年に退官。業界と行政を繋ぐ手腕に期待が寄せられる。農業を取り巻く環境が大きく変わる中、農機の役割も今以上に重要となる。同工業会創立80周年の節目の年の就任にあたり、これからの取り組みや抱負などについて聞いた。
 
 創立80周年の節目の年に、日農工に参画させて頂くことは非常に光栄だ。日本の農業の情勢を見てみると、高齢化、担い手の不足と以前から言われていることだが、スピードが速まっている。当然、労働力の不足等も深刻な課題になっている。その中で、農業機械が果たす役割はこれまで以上に重要になっている。
 一方、目を世界に向けると、人口増加による食糧危機が危惧されている。日本だけでなく世界の農業、食糧に対しても農業機械に貢献できることが多々あり、農業機械メーカーの集まりである日農工が果たす役割も益々重要になってくる。
 現在の農業機械業界を巡る状況をキャッチアップし皆様のご指導を頂いて、微力ながら日本農業の競争力強化と世界の食糧事情改善、そして、目指すべき農業機械業界の発展に向けて努力していきたいと考えている。
 今後力を入れて取り組みたいことは、一つが農作業安全の確保。私が役人になって一番最初に担当したのが肥料機械課での農作業安全だった。その時と比べ農業の就業人口が非常に減っている中で、農作業事故があまり減っていない。農作業事故が全て機械に起因しているわけではないが、安全対策を講じていかなければならない。
 次に、スマート農業の導入、普及を進めて行かなければならない。スマート農機はこれから無人走行等の機械化が進んでいく中で、公道走行ができなければ完結する訳にはいかない。併せて今後も、農業機械の公道走行について取り組みを進めていく。
 それから、引き続き考えていかなければならないのが、生産コスト低減への対応。資材費低減に向けて寄与していかなければならない。
 最後に海外展開。外国での農業生産についても、日本の農業機械業界が貢献できるところが非常に大きいと思う。海外の販路開拓も含めて海外展開の支援をしていく。
 日農工では、行政とのパイプ役としての役割も求められていると考えている。日農工の人間として、農業機械業界のために物事を考えていかなければならない。行政から求められることに対して、業界の立場を丁寧に説明して、言うべきところはしっかり言って、農業機械業界に求められることに対して、いかにプラスに持っていけるかを考えないといけない立場だと思っている。
 今までもそうだが、今まで以上に農業を支えるパートナーとしての役割を果たしていければと考えている。
 趣味は数年前からはじめた水泳。健康のために始めて、今では週に3〜4回プールに通っている。その他には、映画鑑賞。ジャンルは特に問わず楽しんでいる。好きなスポーツは、サッカー。非常にサッカーが盛んな、静岡の旧清水市で生まれ育った。昔はやっていたが今は観戦を楽しんでいる。


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