株式会社マーケティングジャーナル

多士済々 農機業界人物ファイル


株式会社デリカ 代表取締役社長 金子 孝彦氏

従業員の幸せが一番重要
 

 平成26年に、将来経営を担う人材として、松本商工会議所から転職してきたのが、金子孝彦氏。経営企画部長、総務部長を経て、平成28年12月に株式会社デリカの代表取締役社長に就任した。自身は中小企業診断士でもあり、農業が大きな変革を迎える中、豊富な経営の知識を駆使しながら、変化に対応した事業展開を図る。現在の取り組みを聞いた。

Q)社長に就任された経緯をお聞かせください。
金子)大学を卒業し松本商工会議所で、中小企業の支援を続けていましたが、製造業を担当し、こちらの会社とご縁ができ、転職することになりました。52歳の時。“究極の支援は自分で会社を経営することではないのか”との前社長の言葉が、すとんと腑に落ち、決意しました。
Q)社長になってどのようなことに取り組まれましたか。
金子)1年目は流れを把握するのに必死でしたが、その中でも、変化の時代に対応する革新を起こさなければならないと、社内の若手のキーマンを集めプロジェクトチームを作り初めての中期経営計画の策定に取り組みました。5年後70周年に向けたもので、毎週集まり、社内の分析、強み弱み、目標、現状とのギャップを埋める方法など、細かく議論していきました。メンバーは14名で30~40代の課長、係長クラス、タイの現地法人社長も参加しています。
Q)どのような内容になりましたか。
金子)“Challenge Innovation 70”をキーワードに、5年後第70期の経営目標を、連結売上高を現在の1.5倍、売上高総利益率の向上、ダントツシェアの獲得、健康経営・人材育成制度の構築と運用定着、としました。国内インプルや海外事業を伸ばし、新技術を獲得することも考えています。トップダウンの計画ではなく、将来デリカを担う人たちで考えた計画ですので、ワクワクして参画し、自分たちの励みになり、前向きに取り組んでいただいています。
Q)経営していく上で大切にされているのはどのような事でしょうか。
金子)従業員の幸せを一番重視しています。会社が利益を上げ社員に分配し、皆がハッピーになることが大切で、そのために何をするのかを考える。それが根底にあります。社員であることに誇りを持ってもらいたい。
Q)今後の製品展開についてお聞かせください。
金子)大型のものについては出揃いましたので、それらをより使いやすくしていきます。その他、有機農業に着目した新しいものとしては、産学官の共同で、自走式の蒸気処理防除機や表面土壌の飛散を防止するもの、匂いを防いで堆肥散布をするものなどを研究しています。
Q)これからは人材の育成、確保が大きなテーマになってくると思われます。
金子)人材採用については厳しさを実感しています。中途採用を含めて人数を確保しています。また製造現場のIT化、ロボット化を進め、生産効率のアップ、女性活用に繋げていきたい。今、会社説明などは私自らが行っています。人材育成に関しましては、技術が高度化していく中で、積極的に勉強会・研修会などに参加してもらい、知識の習得を図っています。
Q)最後にこれからの取り組みをお聞かせください。
金子)第2工場用の用地があり、これを含めた、工場全体の最適化を、若手中心に議論しています。もう一つはIT化推進プロジェクトで、情報の有効活用に取り組んでいます。全体としては、中期経営計画を愚直に実践していくことに尽きます。70周年の目標達成に向け、全社をあげて取り組んでいきます。
Q)躍進を期待しています。


キャニコム 代表取締役会長 包行 均氏

事業継続のカギは経営陣
 

 オーナー企業の経営継続は大きな問題。これをスムーズに移行したキャニコム。創業者の故包行良人氏から現会長の均氏、そして現社長の良光氏へと引き継がれたキャニコムイズム。社長の一番大事な仕事は次の社長を決めることと言われる。包行均会長にその理念、方法を聞いた。

 当社の次の社長は良光と決まっていた。社長には、マーケティング力、デザイン・ネーミング・ブランド・設計・開発力、広報力、経営力、グローバル力、経(継)続力が必要。平成26年に社長に就任した32才の良光は、少し若かったかもしれない。ただ多くの人の意見を聞き、その能力があると判断した。能力がなければ入社もさせていなかっただろう。スタートがアメリカの営業所からだったのも良かった。世界の動きを理解した上で経営に当たれた。
 リーダーシップとは、統率力、結束力、決断力がすぐれていることと言われる。もちろん社長個人が、それらを備えていることは必要だが、それだけでは完全ではない。組織としてのリーダーシップも必要。
 そこで従来、タテ組織だった執行役員をホリゾンタル(水平)体制として、全部門を的確に把握し、リーダーシップを発揮できるようにした。具体的には複数の部門を兼務し、横のつながりを持ちつつ経営をサポートする。10年間は続けてもらおうと思っている。もちろん決定は会長、社長によって行うが、常務2人と執行役員5人の役割は重大だ。
 私が考える社長の選び方は、まず安定しバランスが良いこと。チェアマン、株主、取引関係、社員が安心してまかせられる人ということ。この意味で現社長は、よくやっていると思う。当初2年ぐらいは、アドバイスもしたが、最近は、ほとんどまかせている。もちろん相談があれば、意見も言い決定している。
 BBT(ビジネス・ブレークスルー大学大学院)のMBA(経営学修士号)を取得したのも大きな自信になっているようだ。また野村総研の研修会に参加したり、何より世界のすぐれた代理店にもまれたのもいい経験となっているだろう。
 新社長には、自分の考えで事業を展開してほしいと言っている。私がそうだったように先代の良い点は引き継ぎ、新しい分野にも進出してもらいたい。新しいことに挑戦するには、知恵もエネルギーも必要だが、今まで通りでは発展がない。そのためにも経営陣の力が必要だ。
 新工場建設の計画も進めている。これまで受注に応えられなかったことも解消するし、大型機械の生産も可能となる。海外での要望の多かった5・6tの運搬車も提供できるようになる。また、企業間提携なども考えなければならないだろう。
 では、会長として私は何をするべきか。社長としては仕事ができたが、会長としての仕事ができていない人が多い。もちろん社長のサポートが一番大事な仕事だが、ほかにも役割がある。
 私は現在、取締役会の議長、役員ゴルフコンペ、役員との夕食会、社員教育などを行っているが、基本は“遊ばざる者、会長にならず”においている。
 健康で、あとの人生を楽しく遊ぶことが私の仕事だと思っている。しかし、ただ遊ぶのではなく、そのつき合い、交流から経営へのヒント、事業拡大のチャンスが生まれる。
 経営陣を中心に事業展開を図り、グローバル市場に、お客様の要望に応える製品を提供し、第一ステップとして100億円企業の目標に向かって、会社が一丸となり取り組んでいきたい。そのために私の力が必要なら、全力で向かっていきたい。

 

過去のレポート(アーカイブ)⇒