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サタケ:「美味しいお米をつくるため乾燥にもこだわる」

 

 


▲片山さん ▲魚沼産コシヒカリの産地

 

 今やブランド米は群雄割拠の様相だ。各地の米所でつくられるコシヒカリを始め、北海道の「ゆめぴりか」、青森県の「青天の霹靂」、秋田県の「あきたこまち」、山形県の「つや姫」、福井県の「はなえちぜん」、佐賀県の「さがびより」、熊本県の「森のくまさん」などなど、まだまだほんの一部で、量販店の店頭では競い合うように商品が並べられている。農業が大きく変化する中、高い付加価値で収益性の向上を狙い、地域農業の持続を図る有効な手段の一つとなっている。中山間地の農業が生き残る方策でもある。新しい品種でブランド化を図るものや、従来品種を恵まれた自然環境や栽培を工夫することで良食味米に仕上げていく方法など様々な取り組みが行われ、農家の挑戦の舞台ともなって、大きなやりがいに繋がっている。

 その中、挑戦を受ける立場とも言えるのが、飛びぬけたトップブランドである“魚沼産コシヒカリ”だ。長年トップの座にあり続け、誰もがその名を知り、多くの農家がそのブランドの在り方に憧れを抱いている。

 その魚沼産コシヒカリの産地の中でも、高い評価を受けているのが南魚沼市の旧塩沢町西山地区。そこで丹精込めたお米づくりを行っているのが片山秀斗さん(44歳)だ。美しい自然に恵まれた先祖伝来の土地を大切にしながら、作業受託も含めた18haの規模で丁寧な農業を営んでいる。「労働力は両親と私たち夫婦の家族が中心です。規模を増やして雑になるのが嫌で、手の届く範囲でやりたいと思っています」。また学生時代から本格的なスキーに取り組み、プロスキーヤーとしても活動している。5年前までは大会に出ていたが、その後選手を引退し、4年前に家業の農業をお父様から引き継ぎ、昨年は法人経営として㈱でんべえを立ち上げた。生産するのは自慢のコシヒカリ。冬場は3mほどの積雪がある地域で、農作業はできないが、スキー学校を冬の事業として行っている。

 「この地域は、水、土、日当たりなどの関係で美味しいお米がとれます」。雪解け水が染みこんだ豊富な山からの水、保肥力に優れた粘土質の土など、恵まれた自然環境にあり、「山からの水は冷たく、田んぼの土を冷やし、登熟期間を長くすることができます」。お米が美味しくなる条件があり、コシヒカリがブランド米へと育っていく。

 その中で特に片山さんが力を入れているのが特栽米の栽培だ。慣行栽培に比べて農薬や化学肥料を5割以上減らしたもので、「有機質肥料を多く投入し土づくりにこだわっています。しっかりとした土をつくり、その地力を使って美味しいお米を育てます」。また水の管理にも細心の注意を払い、常に適量の水となるように、朝晩の見回りを欠かさない。この辺りの田んぼは1枚1反ほどが基本の大きさで、片山さんはそれが80枚ほどあり、一通り回るのに1時間半から2時間かかる。それが1日2回。その手間が味に反映されていく。

 特栽米は“でんべえ米”としてインターネットや飲食店との直接取引で販売され、贈答用に購入する人もいる。その味にひかれた根強いファンがいて、その品質に対する評価は高い。「美味しいお米をつくって、それを食べてもらえる人を増やす」。片山さんの真直ぐな夢だ。

 それを叶えていくためには、需要者の期待に応え続けていくことが必要になる。それによって本当のブランド力が高まっていく。そのための丁寧な米づくりであり、収穫後の作業にも余念はない。「美味しいお米のためには乾燥、籾摺、精米、そして渡すところまで、こだわりが必要だと思っています。特にお米の乾燥は非常に大事です」。その中で、今回新しい乾燥機を導入。それまでもサタケの乾燥機を使っていたが、「もう17、18年使ってきて、基盤が壊れてしまうと交換の部品も無く、秋の忙しい時期に故障すると困るので、買い換えることにしました」。選択したのはサタケの新型遠赤外線乾燥機サクセス。50石のSDR5000Xを3台、7月に導入する。機種決定の決め手となったのは「時間をかけて丁寧に乾燥させたいので、そういうモードがあったことです」。これが一番のポイントになった。「いくら良い田んぼで、良いお米をつくったとしても乾燥でダメにする場合があります。急いで乾燥すると脂肪酸度がグッと上がり、お米の劣化が速くなります」。片山さんの農業において何よりもまず大切なのは、美味しいお米をつくるということ。こだわりのお米を最後まで追求する“プロの選択”ということのようだ。この他にも、これまで使ってきた機械に比べ、遠赤外線機能や省エネ機構が向上しており、期待も高い。さらにサクセスの魅力である高耐久性については「農業機械は安いものではありません。なるべく長い年数使える事は大変嬉しい」。それが収益性を向上させることにもなる。また、農機を販売する側にとっても、故障が少ないことは、後々の手間を少なくすることになり、魅力は大きい。

 魚沼産コシヒカリとして充分なブランド力を持っているが、片山さんはお米の食味を競う全国コンテストにも出品している。「産地としてだけではなく、個人としての評価を目に見えるものにすることで選択の目安にして欲しい」。品質を極めていく上でも新型乾燥機が大きな力になりそうだ。「スキーでも努力しなければうまくなりません。お米づくりも同じで、努力しないと良いお米はつくれません。勉強しながら一つ一つ高めていければと思っています」。その先には地域を越えたブランドの確立があり、しっかりとした利益にも繋がっていく。片山さんには「冬場はスキー、夏場はお米づくりを行う当社で若い人を雇用し、選手としてスキーを続けられる環境を提供したい」という夢もある。美味しいお米づくりがその夢の実現に向け、大きな力となっていくに違いない。



 

 

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