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松山  「あぜぬり機03シリーズ」新機能で締まったあぜを成形

取材先:㈲豊浦中央ライスセンター 大倉均社長さん 

 

  2018年には生産調整が廃止。生産者の自由な経営を奨励し、規模拡大を進め、生産コストの低減を図りながら利益の出る農業へ転換していく。平場で展開する土地利用型農業の青写真だが、このシナリオがどこまで実現できるのか。舞台は現実。各地様々な条件のもと、筋書き通りとはなかなかいかない。気候や風土、土地の条件、地域生産者の農業への思い入れ、それぞれが地域によって異なる。ただ、その中で最適の選択を求めるのなら、与えられた条件の中で如何に生産性を上げていくかということには繋がるはずだ。そこに農機の果たす役割がある。


▲きれいなあぜが成形される ▲新機能であぜを締める

 

 今回の舞台は新潟県新発田市の旧豊浦町。広々とした場所に水田が広がり、訪ねた時期は今シーズンの米作りが始まろうとしている頃合い。その中で土地利用型の大規模農業を展開するのが㈲豊浦中央ライスセンターだ。20年以上前に設立し、地域農業の担い手として事業を運営している。そこで代表取締役社長を務める大倉均(61歳)さんに、新規導入したあぜぬり機について話を聞いた。

 現在、豊浦中央ライスセンターの経営規模は約40ha。「コシヒカリが25%で、後は飼料米、酒米など、今年は7品種ほど生産し、転作では大豆を作っています」。メインの労働力は大倉さんを含めて3人。その内1人に息子の翼さん(32歳)が後継者として加わり、持続性をもった経営となっている。その中で意欲的な農業が実践され、新潟期待の新品種“新之助”の栽培、鉄コーティング直播の取り組みなど、水稲栽培の商品力アップ、低コスト化、省力化を図り、積雪が1mほどにもなる冬場の時期は、ハウスでオータムポエム(アスパラ菜)の栽培を行っている。

 水稲栽培を中心に、利潤の最大化、経営の効率化を考えた積極的な農業展開だ。しかし比較的恵まれた条件にある平場の農業と言えども、生産環境はまちまちで、この地では「基盤整備ができていない所が殆どですので、圃場は大体20aほど。経営している圃場の枚数は200枚を超えています」。それを3人で日々管理していくことになり、大きな労働負担となっている。

 そのため今の経営規模をさらに拡大していくのなら人手の確保が必要となってくるが、人を雇えば「忙しい時期だけと言うわけには行きません。その人の生活を考えて年間を通じた仕事を作っていかなければなりません」。通年雇用をどうするのか。簡単にはいかない所だ。そこで、現状では機械を駆使して如何に効率良く作業をしていくのかに重きを置き、機械装備を充実。「楽ということは、長く続くということ」。それが経営の持続性を図ることに繋がっている。その中で今年導入したのがニプロの新型あぜぬり機リターン03シリーズLZR353NJC。

 あぜぬり作業は3月下旬から始まり、「作業受託の分も含めて距離にすれば60kmほどにもなる」手間の掛かる作業。四隅もしっかりとあぜを成形する丁寧な作業を心掛け、これまでも10年以上に亘ってニプロのあぜぬり機を使用。「故障らしい故障は無かった」と期待に応え続け今回もニプロでの更新となった。

 「この辺の土質は少し軟らかくて、あぜ成形の難しいところが多いですね」。雨などで水分が増えるとさらに条件は悪くなる。また「田んぼ一枚一枚に特徴があり、高さもそれぞれで、決して均一ではありません」。その中で「動散など重いものを背負って行き来しながら作業しても崩れないしっかりとしたあぜ」の成形を目指して作業が行われている。そのためには「単なる機械任せではうまくいきません」。土量や湿り具合などをみて、長年の経験による調整をしていかなければならず、機械選びには「軟らか気味の所でも、手加減がうまくいきそう」かどうかの、人の感覚に対する対応力なども考慮されている。また今回導入したあぜぬり機には、独自に改造した除草剤の散布装置も搭載し、あぜぬり作業と同時に除草も行い管理作業の省力化を図っている。

 実際に使用してみての感想は、作業機が通り過ぎた後に成形された綺麗なあぜを振り返って、開口一番「バッチリだね」との言葉。「全体の調整が簡単で安定感がある。電動のリターンも手間が掛からない。まだ慣れない所もありますが楽です。以前のものに比べて、作業精度が高くなっているように思います」。調整作業は1シーズンの中で何百回と繰り返すわけで、そこがスムーズにいけば大きな省力化に繋がる。

 「あぜ自身のでき具合も良いよ。これならば崩れません。どうしても土量が足りないと表面が粗くなりますが、これは密度が詰まっている」。高さのあるあぜでは、「土を掻き上げるのに苦労していた」が、充分な能力を発揮しているようだ。シーズンを通して痩せていったあぜが充分な土を送られて、しっかりとしたボリュームに回復していく。

 新型あぜぬり機は上面ローラーがらせん条になったスパイラルローラーとなり、その段差が土を抱き込むようにしてあぜ上面を固く締めていく。「以前の平面なローラーに比べて、上からつぶす様な感じで良いですね」。しっかりと締まったあぜを作る。また土を塗り込むディスク部は新開発のネオウィングディスク。8枚のディスクが独立して、摩耗等による交換が容易。「自分で交換しているので手間が掛からないのは嬉しい。それに振動が少ないように思う」。労働負荷を軽減する事にも繋がっている。さらにクラッチジョイントを標準装備。シャーボルトの交換が不要になり「過負荷時の復帰がかなり楽」と満足そうな笑顔を見せた。様々な田んぼの条件に応じてしっかりとしたあぜを効率良く作り、春の慌ただしい作業の大きな力になりそうだ。

 大倉さんの楽しみは、農作業の中、「ふと四季の移ろいを感じること」。日々の仕事に追われてしまいがちだが、新しい機械ならそういう余裕も生まれてきそうだ。

●ニプロあぜぬり機03シリーズAUZ303C/353C、SZ253、SZR303、DZR303C、LZR303C /353C

 《主な特長》①格納時と作業時の切り替えができる「オフセットシリーズ」と、作業部をリターンさせることでぬり残し部分をバック作業で機械ぬりができる「リターンシリーズ」をラインナップ。②あぜを成形してゆくディスクは新開発のネオウィングディスクを全型式に採用した。上面を成形するスパイラルローラーとともに固いあぜを成形する。また8枚のディスクはフック2か所とボルト2本でベースディスクにとめてあるので、簡単に1枚ずつ交換できる。③AUZ03、DZR03、LZR03の各型式は機体の損傷を防ぐクラッチジョイントを採用している。石の多い圃場でもトラクタから降りることなく作業をすることができ、作業能率も向上する。


 

 

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