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サタケユーザー 9台の乾燥機で効率作業「本当に楽に作業ができるようになりました」     岐阜県海津市 有限会社福江営農(代表取締役:後藤昌宏)


 
 340haにも及ぶ経営面積で大規模農業を展開。地域農業の頼もしい担い手として強い存在感を発揮している。その営農を実現するために、水稲・小麦・大豆の2年3作の輪作体系、効率的な大型農機、労働量を低減する省力栽培技術体系などを導入している。日本農業の一つの未来が垣間見える。

 

 
▲代表取締役の後藤さん ▲ソラーナグランドが9台設置されている

 

  今回お訪ねしたのは岐阜県の最南端に位置する海津町。木曽川、長良川、揖斐川の三大河川が合流する地域にあって、海抜が0~4mと低く、輪中を形成し、古くはその中で、沼田の土を盛り上げた“堀田”が作られ、田舟で苗を運ぶ農業が営まれてきた。しかし昭和20~40年代に入ると排水施設の整備が進められ、堀田が埋められ地域の農業が大きく変貌していく。そして昭和55年度から大規模営農に対応できるように国営長良川用水事業などにより、圃場の再整備が行われ、1~2ha区画の大規模な汎用化水田が整備された。
 大規模区画で大型農機を導入した効率的な農業を営むことができるようになり、日本農業を取り巻く環境が大きく変化する中で、地域農業の持続を図るためにこの地において営農組織が立ち上げられた。
 それが今回お話を聞いた有限会社福江営農の始まりで、昭和58年に土地利用型農業における地域の担い手として設立された。「それまでは施設園芸をやっていたのですが、国の先導的稲作技術改善特別事業の認定を受け、まずは利用集積された集落内の10haの水田で営農を開始しました」と、同社代表取締役の後藤昌宏さん(56歳)が当時の状況や現在取り組んでいる農業について教えてくれた。


 地域の信頼を獲得し、「農業の変化が追い風」となって、面積を順調に拡大。平成19年には、品目横断的経営安定対策へ対応するため、部分作業受託の農地についても利用権設定を進め、水稲167ha、小麦141ha、大豆155haまで拡大。「農地集積が一挙に進み、それまでの経営と実績が評価されこの年に農林水産祭の農産の部で天皇杯を受賞させて頂きました」。小規模な堀田から、大規模区画で土地を集約した農業へ。日本農業の歩みの一端がそこに窺われる。天皇杯を受賞した年に、福江営農では代表が先代から現在の後藤昌宏さんに代替わりし、地域農業の担い手として更に前進。「現在は全面受託している経営面積が約340ha」になっている。また同地域では従来水稲単作体系だったが、水稲・小麦・大豆の2年3作輪作体系を確立し、飼料米を含む水稲が約220ha、小麦、大豆が約120haで栽培されている。これを役員3名、従業員12名を中心にパートの人々も加えた形で展開。この面積をこの陣容で経営していくために、作業を分散させるための品種構成、効率的な作業を実現する大型農機、作業そのものの手間を減らす省力栽培技術などを積極的に取り入れている。
 「水稲の品種は早い方から言うと、あきたこまち、コシヒカリ、あさひの夢、縁結び、モチミノリ、ハツシモ、みつひかりで、8月10日くらいから11月の上旬ぐらいまで稲刈をしています」。メインはあきたこまちで、「台風が来る前に収穫できるものを多く作っています」。また、減農薬・減化学肥料の栽培で一部の品種は有機肥料を主体に使い品質においても高い水準を目指している。
 作業を効率的に進めるために大きな力となっているのが大型農機。無人ヘリ、レーザーレベラー、除草剤同時散布の側条施肥田植機などを活用し、また、乾田直播も取り入れて、省力化と作業時間の短縮を進めている。
 販売ルートはJAの他、「殆どは近くの卸しに売っています。それとハツシモは自分たちで直売しています」。ハツシモは岐阜県で栽培されている晩生種の品種で、国内産米の中でも1、2を争うほどの大粒。梅雨時期を過ぎても食味の低下が少なく、年間を通じて品質・食味が安定している。このお米をPRするために6次産業としておにぎり屋も展開している。
 これまで比較的順調な経営を続けてきたが、その中で苦しかったのは「近年の米価の下落」。大規模農業を展開し、低コストで効率の良い作業を実現しても、近年の価格では厳しい。それを打開するための直売や6次産業の試み、飼料米などの栽培であり、「さらなる低コスト化と効率化を進める」。そこに農機の果たす役割も小さくないようだ。


 そんな状況の中、平成25年に事務所とそれに隣接したライスセンターを新しくした。サタケのソラーナグランドSDR82LEZGが9台設置されているのを始め、同社の籾摺機GPS8000A、石抜機GA30RB、米麦選別機NVG60Vが各2台、フレコン計量ユニットSFK1000が1台組み込まれ、効率的なラインを構築している。「私たちの所では1日に700俵ぐらい出します。その張り込みから出荷までの作業を3人で行います。内1人は女性です」。以前は、乾燥の後は籾摺という流れで、次から次ぎに処理をしていかなければ、刈り取った籾を乾燥機に入れることはできず、乾燥待ちの籾が溜まってしまい、「それを処理するために夜遅くまで作業をしていた」。しかし新しいラインでは、各乾燥機に保冷タンクを設置し、乾燥後の籾を留める余地を作り、スムーズな作業となっている。また集塵機を設置することで、クリーンな作業環境を確保している。
 「建屋を新しくする時にどのような施設にすれば良いのか、機械だけでなくラインの設計もサタケさんがしてくれました」。注文された機械をただ設置するというのではなく、ユーザーが実践している農業において、何が求められているのかを考え、その課題解決になる提案をすることが、生産者の利益に繋がる。「本当に楽に作業ができるようになりました」。実感のこもった声が聞かれた。乾燥機については、「早く乾いて品質も良い」とし、8インチの籾摺機も自動機能が充実し評価は高い。
 乾燥調製施設は8月~11月までの稼働で「乾燥機の使用は年間1000時間弱にも及ぶ」。しっかりとした事前の点検・整備でプロの仕事をサポートしている。「これまで問題なく安心して使ってきましたので、信頼しています」。


 TPPが大筋合意となり農業環境が変化する中で、「今後どうなっていくのか不安が大きいですね」。大規模農業の先端を行く後藤さんにとっても先行きの不透明感は拭えないようだ。しかし地域では現在、耕作放棄地がなくその状況に貢献している事も事実。地域密着型で農業を明日に繋げる頼もしい姿がこれからも見られるに違いない。



導入機種:遠赤外線穀物乾燥機ソラーナグランドSDR82LEZG×9台、籾摺機グルメマスターGPS8000A・GPS8000AC、 石抜機ピックストーンGA30RB×2台、選別計量機ネオライスグレーダーNVG60V×2台、計量設備フレコン計量ユニットSFK1000×1台
 

 

 

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