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サタケユーザー   米の直売・加工「ピカ選に対する感動が信頼に繋がっています」            秋田県大仙市 株式会社RICE BALL(代表取締役:鈴木貴之)

 

  秋田県の仙北平野で75haの大規模稲作農業を経営。品種はあきたこまち一本で、特Aの良食味と若さを武器に、大都市圏へのお米の直売から、現在は農家直営の手づくりおにぎり専門店を展開している。その歩みが稲作農業の未来に繋がる。


▲鈴木さん ▲商品価値を高める美白米ユニット

 

 様々な課題を抱える日本農業だが、その多くは、“いかに産業としての持続性を確固としたものにしていくのか”ということに収れんされていく。生産調整が廃止となり、より自立した農業へと変貌する事が望まれており、各地の生産者は自らの足で未来に向かって歩いていくことを懸命に模索している。その中で、鍵となるのが収益性の確保と後継者の育成。言葉で言うのは容易いが実行は難しい。ただ、各地で様々な取り組みが行われており、“疾風に勁草を知る”ようにして、その中からそれらを形にする生産者が少なからず顕れてきている。今回取材した㈱RICE BALLもそんな生産者の一つ。抜きんでた行動力で着実に成果を積み上げ、稲作農家の明日の姿を示している。

 ㈱RICE BALLは秋田県大仙市の仙北平野を舞台に、大規模稲作農業を展開する若手生産法人。代表取締役の鈴木貴之さん(42歳)に話を聞いた。平成21年に設立され、まだ10年にも満たないが、規模は昨年が70ha弱で今年は75ha。手がけるのはあきたこまちただ一つ。「この辺りで作るあきたこまちは特Aと高い評価を受けています。気候や水、場所に恵まれています」。また極力化学肥料を使わず、こ糠や鶏糞などの有機肥料を使用。それらが合わさって、良質米が生み出されている。生産者にとっては心強い競争力のある商品だ。しかしRICE BALLの本領はここから。この米をどうやって売るのか、利益に変えていくか。その問いかけと実行が歩みを進める原動力となっている。

 元々同社の始まりは、生産より販売が先にあって、鈴木さんがまだ農業に携わっていない頃、実家のあきたこまちが大阪の知り合いに10kg4000円で売れたことから、「これはビジネスになる」と直感し、起業。サンプルの米を持って首都圏で販売先を開拓し、飲食店を中心に飛び込み営業を行い、販路を開拓。合わせて大規模農家の農作業をサポートし、秋にお米を仕入れてそれを販売した。その後農地をもって生産するようになり、順調に事業を拡大していった。

 RICE BALLが生産するお米の魅力は一つに味。それを食味分析によって数値化しタンパクの含有量などを見える化する。「これが販売の時のアピールになります。生産方法を言うより数字を見て貰った方がわかりやすい」。根拠のある言葉は説得力を持つ。更なる魅力は「自分たちです。若手が作るお米がブランド力です」。高齢化が進む日本農業にあっては大きな価値だ。魅力ある農業で既成概念を変えていく。その中で今、力を入れているのが、手づくりおにぎり専門店の展開だ。

 ご飯1合でおにぎりが2つできることから「1日1合のお米を食べてもらいたい」という思いをもって店名は“ONIGIRI ICHIGO”。現在東京の代官山に本店があり、兵庫県に3店舗出店している。「農家直営店というのが大きな特徴で、“百姓が握るおにぎり”というのがコンセプト。田舎から都会に乗り込んできましたというイメージです」。自分たちが作った秋田県産あきたこまちを使い、中でも2㎜以上の大粒を厳選。コンビニのおにぎりより一回り大きく、ふっくらした手むすびで提供。そのこだわりのおにぎりは消費者にも好評で、「食べたお客さんが美味しいからと、今度はお米を買いに来てくれることがあります。それが嬉しいですね」。

 直営店のメリットは「作った米を販売する店を持つことで営業に行かなくてすむこと。多店舗展開ができれば、新しい農業の形になると思います」。また自らが店を構えることで、「利益がしっかりと計算できる」。加工による付加価値で利益率も高く「非常に優良な事業だと思います」。食べたおにぎりが美味しければリピータとなり、さらにそれだけではなく、お米そのものの販売にも繋がり、事業としての可能性は大きい。今後も店舗を増やしていく計画となっている。

 鈴木さんは「農業をビジネスにしたい」という思いがあり、「自分たちの会社を一般企業と同じようにしたい」という。農業全体を見れば、まだまだそんな状態にはなく、それを変えていく過程を“百姓一喜”という言葉でも表す。様々な取り組みの先に「百姓の喜ぶ」姿を求める。

 その事業の根幹にはいかに販売するかということがあり、生産者から消費者の間にある商品価値を高める機械の役割も少なくない。そこで活躍しているのがサタケの乾燥調製機器だ。「事業を始めて最初に導入したのが精米機です」。まず直売から始めた鈴木さんの経営には欠かせないものだった。そして光選別機ピカ選を導入。「この機械にはすごく感動しました。何故あんなことができるのか不思議です」。作っておしまいの農業ではなく、人の口に入るまでを考える農業では実需者の信頼を得る大きな力になった。「その感動があったので、それから乾燥調製機は一式サタケにしようと思いました」。今では72石の遠赤外線乾燥機ソラーナGRANDが5台、5インチの籾摺機ネオライスマスターが1台、さらに初代精米機の後継機として美白米ユニットが昨秋導入されている。精米、石抜、光選別、計量がユニット化されたもので、事業拡大に伴う作業の効率化に貢献する。また全てをサタケ製品に揃えたことで、乾燥調製に関しては何かあったときの対応がスムーズに行く。「いつもきっちり対応してくれて満足しています」。

 “米を作って売る”。言葉にすればシンプルなビジネスモデルだが、“売る”ということはそんな簡単なことではない。それゆえに販売を人任せにする方法が大勢になったわけで、それを考えればRICE BALLのこれまでの展開には目を見張るものがある。若さを武器に、既成概念に捕らわれず、思いやアイデアを次々形にしていく行動力が、農業をどんどん明日に進めていくに違いない。そこに機械の果たす役割も小さくなく、その歩みをしっかり支える品質の確保にも貢献している。

 どこまで行くのか、行けるのか。日本農業の未来の一つがその姿と重なった。


導入機種:美白米ユニット×1基、光選別機ピカ選FGS-2000×1台、遠赤外線乾燥機ソラーナGRANDSDR72LEZG×5台、ネオライスマスターNRZ550GWAK×1台


 

 

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