株式会社マーケティングジャーナル

現場通信&ユーザーヴォイス

サタケユーザー   枝豆の選別施設「枝豆は「品質もやはり秋田おばこ」と言われたい」          秋田おばこ農業協同組合

 

 秋田おばこ農業協同組合は平成10年4月1日、秋田県南部の大曲仙北地区1市10町3村にあった20JAが合併して誕生。基幹作物は米。園芸作物においては、ホウレンソウ、アスパラガス、枝豆、トマト、キュウリ、そら豆、モロヘイヤ、キャベツ、しいたけ、花きを重点推進10品目と定め、新品目の導入や収益性の高い栽培技術の普及を図るとともに、園芸振興拠点センターを中心とした集出荷作業の効率化に努めている。


▲多用途ベルト式光選別機BELTUZA ▲高い品質の枝豆

 

 就農人口の減少や高齢化をいかに食い止めるか。今、日本の農業は大きな岐路に立たされている。生産者の平均年齢は66.8歳。高齢を理由に生産を縮小する者も少なくなく、生産力の減退が大きな課題となっている。こうした中、地域農業の維持・活性化を目的に、より収益性の高い作物への転換、農家所得の向上を図ることも農協の役割の一つ。今回取材した秋田おばこ農業協同組合(JA秋田おばこ)も、米の取扱量・販売高ともに全国一を誇る米の産地である一方、一昨年、昨年と連続して東京都中央卸売市場7~10月の枝豆入荷量日本一を達成した秋田県の枝豆生産の中心的産地として積極的に園芸品目の導入・拡大を進めている。今年6月に組合長に就任した原喜孝氏(60歳)に、枝豆を中心とした園芸作物の拡大戦略と今後の展開について話を聞いた。

 JA秋田おばこでは、基幹作物の米による収入が農家所得の9割近くを占めるが、米余りや米価の下落が続く中、どうやって農家の所得を維持・確保するか、その答えの一つが園芸だった。園芸作物の平成28年の販売高は26億円。それを平成30年に30億円にする目標を打ち立て、組合全体で思いを一つにして取り組んでいる。その戦略の柱を担う主力作物の一つが枝豆で、県の市場出荷量の約3割をJA秋田おばこが占めている。現在の作付面積は約200ha。来年はさらに50ha増やしたいと原組合長は意気込む。「農家にしてみれば、枝豆は昔から作ってきた作物で馴染みがあります。また水田と同じ圃場でできるところも、農家にとってはメリットになっていると思います」。ただ、生産者からは、人手が足りず、面積や収量を増やしたくても増やせないという声が聞こえてきた。とりわけ収穫後の選別や袋詰めはすべて手作業で行うため多くの労力と時間がそこに費やされていた。「まずは、その辺りの一番手のかかる部分を排除してあげよう。それから規模拡大を目指していこう。そういう経緯で導入したのが“JA秋田おばこ枝豆選別施設”です」。今年7月、国の産地パワーアップ事業を活用し、農協畜産課の既存施設内に、サタケの多用途ベルト式光選別機BELTUZA2台を核とした共選場を新設した。農家で粗選別・洗浄・脱水した枝豆は各集出荷所に持ち込まれ、その後、共選場にて光選別機による選別、手選別を経て計量、袋詰めされる。

 稼動開始から約1ヵ月。原組合長は大きな手応えを感じている。この間の出荷量は当初の見込みを上回り、「うれしい誤算」。さらに、「ここまでは農家がやって、この先は共選場に持っていってやってもらおうと徐々に作業の流れがわかってくれば、その分の余剰労力を別の作業に向けることができるわけですから、来年はもっと期待できると思いますよ」。目指すところは、「品質もやはり秋田おばこだなと言われるぐらいの水準にまでもっていくこと」。選別に手間がかかれば、その分収穫が遅れ、刈り取りの適期を逃し、莢が膨らむなどのロスが生じる。「ゆくゆくは粗選別・洗浄・脱水も農協でできるようになれば、農家はもっと楽になります。そうなれば、2~3町歩の農家も、ある程度年配の方も、“ちょっと枝豆をやってみようかな”という気になると思います。高齢になっても、長年の経験で“病気がついているな”、“肥料が足りないな”という目利きはできますからね。農協が収穫から共選まで行えば、自ずと面積の拡大は図れると確信しています」。

 もう一つ、共選を導入して良かったことがある。光選別機によってはじかれた規格外の豆も、一定量になるため、管内の農業法人を通じて豆を莢から取り出し、冷凍して加工用に学校給食やホテルに提供している。それがまた農家所得に跳ね返る。「枝豆でもトマトでも、切り口はいろいろありますが、農協が勧めたことをやってみてそれが所得向上に繋がっているという実感を持ってもらえれば、それでOKだと思っています」。

 枝豆の販売高は約4億円。それをまずは5億円にして園芸の太い柱にする。「国道105号沿いに行けば、秋田おばこが何をやりたいのか、この地域がどういう農業をやろうとしているのか一目でわかる施設が並んでいます」と原組合長。また、そういう農協作りを目指している。今回の枝豆選別施設もその一つで、荷受けから袋詰めに至るまで、ラインの地点、地点で重量を計測し、すべてパソコンでデータを管理している。「若い人は、IT化、データ化された農業でないと、なかなか飛びつきません。データに合わせた無駄のないことをきちっとやって、費用対効果をどれぐらい出すか。そういうところで競っていくのだと思います。またそういう人を育てていきたいと思っています」。

 若い人にいかに魅力ある農業を提示できるか。後継者不足も高齢化も、突き詰めればそこに課題解決の糸口がある。その一助を担うのが機械であり、できる部分は率先して機械化することにより、農地の縮小や農家数の減少を食い止める道が開けるかもしれない。JA秋田おばこの取り組みがその好事例で、共選場を導入し、マンパワーが必要なところを農協が受け持つことで、産地指定を目指せるだけの品質力の高い作物の生産が可能となる。ひいてはそれが農家所得の向上に繋がっていく。


導入機種:多用途ベルト式光選別機BELTUZA CSV600BI×2台


 

 

過去のレポート(アーカイブ)⇒