株式会社マーケティングジャーナル

現場通信&ユーザーヴォイス


松山:車速連動で肥料のコスト削減「無駄のない農業を応援する」

 

 農業を成長産業にするとして各地様々な取り組みが行われている。規模拡大から始まって、水田での野菜作導入、農産物に付加価値を付けたブランド化、加工、販売までも行う6次産業、輸出の促進など。如何に農業を儲かるものにして利益を上げていける産業にするのか、その道が探られている。そのためには、農業を経営としてしっかり捉える必要があり、ものを売る“攻め”だけでなく、如何に作るかという“守り”も必要だ。しっかりと生産コストを管理し利益を追求していかなければならない。それが経営体の体力を強化し、農業持続の道を開く。その中で肥料の無駄を省くブロードキャスターが活躍している。


▲車速連動で無駄なく散布 ▲均一散布を実現するスパウト

 

 今回お訪ねしたのは千葉県香取郡神崎町の農事組合法人神崎東部。「従業員に普通のサラリーマン並の給料を払っていけるようになりたい」と、語るのが、同法人の代表理事を務める大原弘宣さん(64歳)。豊かな水源に恵まれた利根川の流域にあって、早場米の産地でもあり、ここを舞台に4つの地区にまたがる82haの水田で、22haの麦大豆を含む土地利用型農業を大規模に展開している。育てているお米は、ふさおとめをメインにコシヒカリなど。飼料用の米や鉄コーティング直播も取り入れ、大規模ならではの多様な取り組みを行っている。設立は12年ほど前。「元々は一つの地区から始まったのですが、農業をやる人が少なくなり、高齢化が進展し、段々規模が拡大していきました」。現在労働力は常勤5名、非常勤5名。「20代の若手から中堅、そして我々の60代と、世代はうまく繋がっています」。時代の趨勢に対応しながら営農を推進し、持続性を持った事業展開が行われている。

 その中で大きな力になっているのが充実した機械力。「これまでの農業は大ざっぱな所があって、そこが農家のいけないところです」との思いがあり、農業を“見える化”するICTを利用したシステムの導入にも熱心だ。クボタのKSASを導入して、食味・収量コンバインで収穫時期にとれたお米のタンパク質などを圃場毎に分析し、施肥設計に活かしている。「必要な所に必要な量の肥料を施肥し、必要の無いところにはふらない。これが大事なところです」。それまでは「肥料をふりすぎて、稲がねてしまいました」との反省もあり、均一に散布することへの思いは強い。そこで導入されたのがニプロの車速連動ブロードキャスターMP510EXA。

 昨年の10月に導入し、麦の施肥に使い、今回、春作業に臨んだ。新しくブロードキャスターを導入した理由は「無駄のない農業を実施するため」。それ以前のものは、必要量を過不足無く散布することを心がけてはいても、経験と勘による作業のため、適切な量を撒くことができないでいた。「面積から必要量を割り出して散布していましたが、どうしても肥料が足らなくなってしまい、昨年は100袋ほど買い足しました」。結局、肥料過多になっている場所ができているということで、収穫時期に倒伏の原因ともなっていた。それに何よりも生産コストを押し上げる要因となる。それらを解消するものとして肥料の均一散布を実現する車速連動のニプロブロードキャスターに対する期待は大きい。

 麦の播種前に行った施肥では、無駄もなく、「以前の麦の生育は、肥料の散布ムラにあわせて虎の縞模様のようになっていましたが、今回はそれが無い。今のところ一番の生育具合」と収穫への期待は高まる。米作りでは、約60haの肥料散布があり、順調な生育と生産コスト削減に対する効果はさらに大きなものとなる。

 実際の作業では、「散布幅、散布量を入力するだけで、後は走るスピードに合わせてシャッターの開度が自動で調整され、均一な肥料散布ができます。大変使いやすいと思います」と、散布作業を担当する青野雄太さん(28歳)。作業時間は1ha、30分かからないとのことで、「いちいち開度の調整をしなくても良いので手間がかからず、速く走れば、それに合わせて開度を調整してくれます」。以前に比べ、作業時間が大幅に短くなった。天候が安定している内に一気に作業することができ、近年天候不順が目立つ中で、作業のスピードアップは生産者の大きな力になる。

 「作業していて肉体的に楽なのはもちろんですが、散布量に気を遣わなくて良いので気分的にとても楽です。それに専属のオペレータでなくても、誰でもこの作業ができるようになる」。ストレスを減らし、あるいは交代での作業を可能にし、オペレータの負担を軽減することに繋がる。

 もちろん肥料を過不足無く適切に撒くことで、生産コストの削減を実現し、肥料の撒きすぎによる倒伏の予防にも貢献する。

 現在、車速連動ができる肥料散布機は幾つかあるが、その中からニプロの機械を選んだのは、「均一に散布できるから」。ただ車速連動をするだけでは、予定量を過不足なく撒くということだけで、圃場内にムラが生じる場合もある。ニプロブロードキャスターは独自のオーバーラップ散布方法を採用し、均一散布を実現することで、肥料の偏りを解消していく。中央部から周辺部へと徐々に肥料の濃度が薄くなり、散布量を図形にすると、散布幅を底辺にした綺麗な二等辺三角形を描くことができる。そのため散布幅の半分の長さを目処にして重ね合わせていくことで、均一な肥料散布を実現する。「重なってちょうど良くなる。この散布方法が一番良いと思った」。この他、「スパウトも簡単に取れて洗いやすい」とメンテナンス性も高いようで、プロの選択となった。

 「収量を上げていくということを念頭に、今、収益の分岐点を探っている所です」。地域では高齢化も進み、農地の受け手として規模は拡大する方向にあるが、経費が増大し利益が出なくなればたち行かなくなる。「無駄のない農業をしていきたい」と強い意志が窺えた。そこに農機が果たす大きな役割がある。


▪ニプロブロードキャスターMPシリーズMP-EXA/MP-EXK/MP-EX/MPシリーズ

 AG-PORT付トラクタに対応するMP-EXAシリーズ、独自車速信号取出し付のトラクタに対応するMP-EXKシリーズ、オプションで車速連動仕様となる電動シャッター仕様のMP-EXシリーズ、経済的な手動シャッター開閉仕様のMPシリーズと、ユーザーのニーズに合わせて充実のラインナップ。

 《主な特長》▷独自スパウトとナイロンストリップの作用で肥料は左右均一に繰り出され、中央部が厚く周辺部が薄くなり、散布量は綺麗な二等辺三角形となる。そのため、オーバーラップ散布することで走行位置が多少ずれても均一な施肥を実現する。▷EXA/EXK:調量値の測定が簡単に行える調量モード、残った肥料をシャッター全開で排出できる排出モード、あぜ際散布用の外周モード、旋回時に設定した車速以下でシャッターが自動に閉じる旋回モードを搭載。



諸岡:女性が活躍し目標に向かって共に進む「能力重視の人材活用で改革推進」

 

 少子高齢化が進み、将来的に労働人口の減少が日本経済に大きな影響を与えると予想され、如何に働き手を確保していくかは大きな課題となっている。その状況を先取りしているような状況が農業の生産現場ともいえ、新規就農者対策と共にこれまで補助的作業を担うことが多かった女性農業者を主役として働いてもらえるような環境作りが、農業女子プロジェクトを始めとして各地で行われている。ものづくりの製造現場でも同じ事で、優秀な人材を確保するため、能力を重視した男女問わない登用を行い、女性の活躍を応援する職場作りも進められている。その中、諸岡では管理職にも女性を積極的に起用し、職場の活力が生み出されている。社内で係長以上の管理的役職に就いている女性に集まって頂き、比較的男性の職場とされる製造業で働くことの苦労やこれからの目標を伺った。


▲諸岡社長と女性社員▲インターネット回線の参加者

 

 参加者は管理本部から総務課の伴課長、経理課の守安係長、営業本部から海外営業課の岡野係長、部品・サービス部の保田担当部長、サービス課の渡辺係長、部品課の大窪係長、生産・技術本部から生産管理部の伊藤次長、各地の営業所からはインターネット回線を通じて北海道営業所の唐沢係長、中国営業所の三木係長、九州営業所の上米良係長の10名。また諸岡社長、諸岡専務、今井執行役員の幹部も参加した。従業員約170名中、女性の係長以上の役職者は12名、女性従業員はパートを含め36名となっている。

 冒頭、諸岡社長が「国を挙げて働き方改革が進められているが、我が社でも生産性の効率をあげ、定時で帰るにはどうしたら良いのかなど、テーマを持って社員の方々に考えてもらっている。また有給休暇の取得についてもその意義や取得について改めて取り上げるなど、諸岡でも働き方改革を進めている。その中で当社は、女性の役職者が他社に比べて比較的多いのではないかと言われている。以前から男女の別なく能力のある方にはそれなりの仕事をしてもらうという方針で進めてきた。今はその女性社員が非常に大きな戦力となり、仕事がスムーズに流れることに貢献して頂いている」と、社内で女性が大きな役割を果たしているとし、その後、各参加者がそれぞれの思いを披露した。

 女性参加者の中で最も上席にある、部品・サービス部の保田担当部長は「今年38年目。部長職を拝命したとき当初は荷が重いとお断りしましたが、社長の期待を受け、皆様のご協力もあり何とか仕事をこなしています。私の仕事は皆さんが仕事をしやすくすることだと思っています。長年働いていますと両親が年老い世話などで休まなければならないとかがありますが、休みにくいという事はありません。周りの方たちが助けてくれます。間違っても良いからと自由に伸び伸びさせて頂いてます。男性の部下との関係ですが、はっきりとものを言うことで、ついてきてもらっています」。

 生産管理部の伊藤次長は「1年ほど前に営業本部から生産本部に異動となりました。現在、社が生産体制の基盤整備を目標としており、大役を任され奮闘しています。私自身子どもが3人おり、一番下を出産する時はこちらの会社に所属し育児休暇を取得しました。上の2人は他の会社で育児休暇を取得したのですが、復帰のハードルが高く、働きづらい思いをしました。それに比べ、こちらは皆さんに気を使って頂き、社長からも声をかけられ、非常にフレンドリーな会社だと思います。男性の多い生産・技術の部署に来た当初は、凄い所に来たなと思いました。メーカーの根幹であり、その中でクッション材の役割を意識しています。経験のある男性の上長となり、分らないことははっきり申しあげ、生産の体制は改善したい、という思いを伝え、動いて頂いています。急激に改革を進めるようなやり方ではなく、皆さんがやっていることをいったん全て受け止めて、それから改善に向かって進めています。一人一人の努力が繋がる気持ちの良い生産の場を目指したい」。

 経理課の守安係長は「今年4年目で、今業務の改善を進めています」、部品課の大窪係長は「部品の発注や注文を受けたり、請求書関係をやっています。個々ではできないので協力しながら仕事を進めたい」、サービス課の渡辺係長は「今年で6年目。売り上げ目標に向け部品とサービス協力して、売上を達成していきたいと思ます」、総務課の伴課長は「働き方改革ということで、有休取得に向け、計画的にとって頂けるように働きかけるなど、基盤整備を進めています。部内のコミュニケーションを充実させたい」と、取り組んでいる業務、抱負について語った。

 海外営業課の岡野係長は「私は元々飲食業で働いていましたが、茨城の地方の会社で世界に機械を輸出しているのは凄いことじゃないのか、こんなグローバル企業が地元にあったのかと思い、入社しました。今年5年目。海外向けの出荷業務の書類作成などを行っています。売上が上がってく中で頑張っています。同じ建設系の会社さんでは、女性を意識的に窓口担当にされていて、意見を求められたこともあります。クレーム処理が男性よりもスムーズにいくことを期待されています。女性だから柔らかく、丸く収めることは多くあると思います。しかし、どんなことでも女性を前にして丸く収めようとするのは少し違うと思います」と、女性に対する期待とそれに対する思いを述べた。

 北海道営業所の唐沢係長は、「パートから正社員になり19年目です。諸岡が大好きです。本社・各営業所の女性を繋げる“エムコレクト”の活動にも力を入れています。元々は社内の女子会でした。自分の仕事だけを考えるのではなく、時期によって仕事の多い人や一人で負担が大きくなっている人を全員で分担して助け合えればと思っています。横の繋がりの組織です。営業所が営業所だけの仕事をするのではなく、本社の仕事も分担してやっています。今後はスキルアップを図り、営業所全体へと視野を広げていきたい」、九州営業所の上米良係長は「今9年目。諸先輩がいる中で大役を任され緊張した日々を過ごしています。お客様と最初に接することも多いので自社製品の知識をもっと深めたい」、中国営業所の三木係長は「今8年目。皆さんに助けられながら日々頑張っています。コミュニケーションを円滑に図っていけるようになりたい」と、営業最前線から働く女性の思いを伝えた。

 能力重視の男女を問わない登用が、共に会社のことを考える貴重な戦力を育み、目標に向かって進む力となっていた。女性の大きな可能性を感じた。

 

 

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